紅茶の製造オーソドックス製法|紅茶の作り方
世界で最も愛されている「紅茶」は、チャノキから摘み取られたばかりの葉は鮮やかな緑色をしているのに、なぜ茶葉として加工されてしまうと黒褐色をしているのかと気になったことはありませんか。
紅茶の茶葉を製品として流通させるまでの工程のことを「製茶」と呼ぶのですが、紅茶の製茶方法には大きく分けて、
・オーソドックス製法
・アン・オーソドックス製法
・セミ・オーソドックス製法
この3つが存在します。
今回は3つ存在する紅茶の製茶方法のなかで、200年以上前から行われている伝統的な製造方法「オーソドックス製法」についてご説明します。
スポンサーリンク
オーソドックス製法とは?
オーソドックス製法とは、いまから200年以上前に中国で誕生した手作業による伝統的な紅茶製造方法のことです。現在はイギリス人の方々によって考案された機械を用いて茶葉の製造が行われておりますが、必ず全ての工程に人間の手が入るため、茶葉本来の個性を活かした紅茶が完成することから「正統派」と呼ばれています。
オーソドックス製法には、茶葉の外見を重要視した「リーフタイプ」と水色や香味を重要視した「ブロークンタイプ」の2種類あり、同じ茶葉でもそれぞれ魅力が大きく異なるため、2種類の茶葉を飲み比べて嗜好に合う茶葉を見つけるという楽しさもあります。
さて、伝統的な紅茶製造方法「オーソドックス製法」の主な工程について詳しくご紹介してゆきましょう。
オーソドックス製法の主な工程
1.摘採
「茶摘み」のこと。チャノキから摘まれた生葉は傷が付かないよう、鮮度を保ちながら加工場へと運ばれます。
2.萎凋 (いちょう)
加工場へと運ばれた生葉を萎れさせる工程。生葉を萎れさせることで柔らかくなり、次の工程「揉捻」がスムーズに行えるようになります。このタイミングで葉の内部では成分の変化がゆっくりと始まっており、生葉の新鮮な香りに加え、花や果実のような甘い香りが加わり始めます。
3.揉捻 (じゅうねん)
萎れた生葉を揉みます。加工場によって人の手で行う場合と機械で行う場合があります。
圧力をかけて生葉を揉むことで葉の形状が整えられると同時に茶葉の繊維や細胞を壊し、酸化酵素を含んだ茶汁を出させて空気に触れさせ、本格的な酸化発酵を行います。
4.玉解き・篩分け
揉捻が完了した茶葉は塊になっているため、この塊をほぐして茶葉を平均にすることで、揉捻のときよりも一層酸化発酵が促さます。
現在は機械化が進んでおり、20分から30分ごとに自動玉解機 (篩分け)に茶葉をかけることで、葉の大きさを整え、下に落ちたものを速やかに次の工程へと移し、上に残ったものはもう1度揉捻を行い、サイズを整えます。
5.発酵
玉解き・篩分けの工程が完了した茶葉は、温度と湿度が徹底管理された環境へと移され、酸化発酵を行います。葉の表面はゆっくりと時間をかけてツヤのある赤銅色へと変化してゆき、葉の内部ではさらに酸化発酵が進んで熟した果物の香りやコクのある味わいが強まってゆきます。
ただ、酸化し過ぎてしまうと「紅茶の命」と言われている香気やアロマが失われてしまい、水色も黒っぽくなってしまうため、細心の注意を払わねばなりません。
最近では揉捻中に温度や湿度を調節する機能が付いた機械も開発されており、揉捻しながら発酵を行うことができるようになりました。
6.乾燥
発酵が完了したら、今度は茶葉に残った水分を極限まで減少されるため、熱風などを用いて乾燥させてゆきます。
茶葉に含まれる水分をそのまま放置して仕上げに取り掛かってしまうと、葉の内部に残った水分によって化学反応がお紺ってしまうため、この工程はとても重要なものとなっています。
また、発酵後の茶葉を乾燥させることで紅茶らしい外観となり、風味も固定されるため、貯蔵や輸送に耐えられるようにもなります。
7.仕上げ
乾燥後の紅茶の茶葉のことを「荒茶」と呼びます。
荒茶には、余計な茎や葉くずの粉などが付着しているため、これらをキレイに取り去ります。
そして、篩にかけてグレードごとに分け、ロット分けを行ってからオークションなどの流通の対象として出荷されます。
昔ながらの製造方法で作られる紅茶は、香りの良さが魅力となっており、紅茶愛好家のあいだではたいへん人気の高い茶葉となっています。
しかし、抽出時間の長さや淹れるまでの手間暇を考えると、気軽に飲める紅茶とは言い難いため、頻繁に紅茶を飲みたいという方にはオススメできない茶葉と言えるでしょう。
休日に家族や恋人、お友だちと楽しい時間を長く過ごしたい方や帰宅後ゆったりと読書や音楽鑑賞をしながらまったりとした時間を過ごしたい方は、是非この機会にオーソドックス製法で作られた紅茶を淹れて、有意義な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
スポンサーリンク
紅茶とは|紅茶の起源と伝説
2015年2月に再上陸を果たした“コーヒー界のapple”こと「ブルーボトルコーヒー」によって、現在日本国内で「サードウェーブコーヒーブーム」が巻き起こっておりますが、実はこのコーヒーブームの裏側で、じわじわと紅茶に力を注いでいるカフェや飲料メーカーが増えてきていることをご存知ですか。日本でも御馴染...
紅茶の歴史と起源|紅茶とは
現在、日本国内では、2015年2月に上陸を果たした「ブルーボトルコーヒー」によって、空前のサードウェーブコーヒーブームが巻き起こっているのですが、なんとこのコーヒーブームに負けじと、日本各地にあるカフェや国内外の飲料メーカーのあいだで紅茶の魅力をより多くの人々に伝えようと、本格的な紅茶を手軽に味わえ...
紅茶の茶葉について緑茶との違い|紅茶とは
紅茶には、ダージリン、ウバ、キーモン、キャンディ、アッサム、ヌワラエリアなど様々な種類の茶葉がありますが、これら全ての茶葉が日本茶 (緑茶)や烏龍茶の茶葉と同じツバキ科ツバキ属に属する常緑広葉低木の「チャノキ」の葉を摘み取って作られていることをご存知でしたか。チャノキとは、熱帯から暖帯のアジア圏に広...
紅茶の製造オーソドックス製法|紅茶の作り方
世界で最も愛されている「紅茶」は、チャノキから摘み取られたばかりの葉は鮮やかな緑色をしているのに、なぜ茶葉として加工されてしまうと黒褐色をしているのかと気になったことはありませんか。紅茶の茶葉を製品として流通させるまでの工程のことを「製茶」と呼ぶのですが、紅茶の製茶方法には大きく分けて、・オーソドッ...
紅茶の製造CTC製法|紅茶の作り方
「紅茶は好きだけど、毎回紅茶を淹れる度にティーポットやストレーナー、キャディスプーンなどを用意したり片付けたりするのは大変」「本当は毎朝紅茶を淹れて飲みたいのだけれど、時間が無くて諦めている」という方も大勢いらっしゃるかと思います。そんなあなたにオススメなのが「CTC製法」で作られた紅茶です。CTC...
紅茶のグレード・等級|紅茶とは
紅茶にも、コーヒーや日本茶、お酒にお米などと同じく、「グレード」や「等級」などの区分が存在します。ただ、紅茶のグレードは、コーヒーや日本茶、お酒などとは大きく異なり、品質やクオリティなどを表すものではありません。紅茶のグレードとは、茶葉の大きさや形状を区分するための「単位」であるため、「茶葉が大きい...
紅茶の基本的な入れ方|紅茶の飲み方
「紅茶の入れ方に基本ってあるのかな?」「おいしい紅茶を入れたいけど、どんな道具を用意したらいいの?」など、これから紅茶の世界に飛び込もうとお考えの方にとって、おいしい紅茶の入れ方や入れる際に必要となる道具選びはとても重要な悩みとなっています。既に紅茶を入れる際に必要となる道具が揃っており、あとはおい...
紅茶と水の関係|おいしい紅茶の入れ方
紅茶は、日本茶 (緑茶)や烏龍茶などの茶類のなかで最も水の影響を受けやすい飲み物であるため、おいしい紅茶を淹れたいと思うあまり、水道水ではなく、ミネラルウォーターを使って淹れているという方も多いのではありませんか。実は紅茶をおいしく淹れるためには、ミネラルウォーターよりも私たちが普段使用している水道...
水の硬度による紅茶の違いとイギリスの紅茶事情
水の影響を受けやすいお茶として有名な「紅茶」ですが、実際にどのような違いがあるのかと気になっている方も多いのではありませんか。軟水の水で紅茶を淹れた場合、紅茶本来の香りや味わいがストレートに表現され、美しい水色とシャープな香りと味わいを楽しむことができます。特に日本の水道水はストレートティーを淹れる...
紅茶のおいしい入れ方|基本のストレートティー
「紅茶の入れ方に基本ってあるのかな?」「おいしい紅茶を入れたいけど、どんな道具を用意したらいいの?」など、これから紅茶の世界に飛び込もうとお考えの方にとって、おいしい紅茶の入れ方や入れる際に必要となる道具選びはとても重要な悩みとなっています。既に紅茶を入れる際に必要となる道具が揃っており、あとはおい...
ダージリンとは|紅茶の種類産地、特徴
世界三大紅茶のひとつに数えられている北インド原産の「ダージリン」は、紅茶愛好家でなくても1度は耳にしたことのあるとても有名な紅茶の名前です。紅茶に詳しい方ならばご存知かと思いますが、ダージリンには「ファーストフラッシュ」や「セカンドフラッシュ」など様々な種類があり、それぞれ香りや味わい、水色に大きな...
アッサムとは|紅茶の種類産地、特徴
紅茶本来の香りや味わい、水色を存分に楽しむことができるストレートティーも魅力的ですが、たまには濃厚な味わいが楽しめるミルクティーが飲みたいなと思ったりすることはありませんか。ですが、ダージリンのような芳醇な香りを持つ紅茶にミルクを入れてしまうと、せっかくの香りが台無しになってしまうため、入れたくても...
ニルギリとは|紅茶の種類産地、特徴
ダージリンやアッサムと並び、インドを代表する紅茶として知られる「ニルギリ」は、南インドにあるターミナルナドゥ州のケーララ付近の丘陵地で栽培されているチャノキの葉から作られています。同じインド国内で製造されているダージリンやアッサムは強烈な個性を持つ紅茶として有名ですが、ニルギリは主だった個性の無い紅...
ドアーズ・テライ・キッシムとは|インド紅茶の種類や特徴
世界最大の紅茶の産地として有名なインドでは、1年間におよそ98トンもの紅茶を生産しており、なんと紅茶の国内消費量も世界第1位と、紅茶をこよなく愛するイギリスよりもたくさん消費しています。そんなインドでは、世界三大紅茶のひとつ「ダージリン」や1823年にイギリス人のロバート・ブルース氏によって発見され...
ウバとは|紅茶の種類や特徴
インドのダージリン、中国のキームン、そしてスリランカのウバは、世界三大銘茶として紅茶愛好家たちのあいだではたいへん有名ですが、あまり紅茶に詳しくない方の場合、『ダージリンやキームンは飲んだことはあるけど、ウバは飲んだことが無い』という方が多く、どのような種類の紅茶なのかをご存知無い方も大勢おられます...
ヌワラエリア・ディンブラ・キャンディ・ルフナ・ウダプヤラワ|スリランカ紅茶
紅茶を少しかじったことのある方なら1度は耳にしたことのある「セイロン紅茶」。セイロン紅茶の「セイロン」とは、かつて「セイロン」という名の国であったインド半島の南東部に浮かぶ島「スリランカ」のことです。スリランカは、16世紀にポルトガルやオランダの進出を経て、1802年以来長きに渡りイギリス直轄の植民...
ケニア・マウライとは|アフリカ紅茶の種類や特徴
紅茶の産地といえば、世界三大銘茶の産地であるインド、スリランカ、中国が頭にパッと思い浮かぶ方も多いと思いますが、実は紅茶栽培に向いていなさそうなアフリカ大陸でも紅茶の栽培が行われていることをご存知ですか。アフリカ大陸で紅茶の生産が行われるようになったのは、1887年に南アフリカ連邦東部にあるナタール...
日本で生産されている和紅茶とは|紅茶の種類や特徴
「紅茶って渋くて苦いからどうしても苦手」「紅茶は好きだけど、好みの紅茶がなかなか見つからない」といった紅茶に関するお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。そんな悩めるあなたにお勧めしたいのが日本で生産されている「和紅茶」です。和紅茶とは、その名のとおり日本国内のお茶農家さんたちが生産している...
インドネシア・ネパールの紅茶|紅茶の種類や特徴
現在、全世界の紅茶生産量3/4以上を占めると言われる紅茶主要国のインド、スリランカ、中国、インドネシア、ケニアの5か国は、別名「5大紅茶生産国」と呼ばれており、紅茶に詳しくない方でも1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、現在紅茶を生産している国は、日本を含め実に20数ヶ国あり、それぞ...
紅茶を入れる際に最低限必要な道具とは|紅茶の入れ方
ティーポットやティーカップ、茶こしなど紅茶を入れる際に必要となる道具は、分かっているだけで10種類ほどあります。ですが、実際に紅茶を入れる際に必要となる道具を10種類全て買い揃えてみると、いくつかの道具は使わなくてもおいしく入れることができた意見も多く、使わなかった道具をどうしようかと困っている方も...
紅茶に必要な道具の名称と使い方|紅茶の入れ方
おいしい紅茶を入れるためには、ティーポットや茶こし、ストレーナーなど様々な道具を駆使して入れてゆきます。ですが、これから紅茶を始める方にとって、どの道具がどんな役割を果たしているのか、本当に必要な道具なのかどうかを判別するのはとても難しいことです。そこで、紅茶を入れる際に必要となる道具の名称とその使...
ダージリンの種類と特徴|紅茶の種類
ダージリンには、・ファーストフラッシュ・セカンドフラッシュ・モンスーンフラッシュ・オータムナルなど様々な種類があり、それぞれ香りや味わい、水色が大きく異なるため、気分に合わせて紅茶葉を選ぶことができるのが魅力となっています。