紅茶と水の関係|おいしい紅茶の入れ方
紅茶は、日本茶 (緑茶)や烏龍茶などの茶類のなかで最も水の影響を受けやすい飲み物であるため、おいしい紅茶を淹れたいと思うあまり、水道水ではなく、ミネラルウォーターを使って淹れているという方も多いのではありませんか。
実は紅茶をおいしく淹れるためには、ミネラルウォーターよりも私たちが普段使用している水道水を使った方がおいしく淹れることができると言われています。
この事実にたいへん驚かれた方も多いかと思いますが、もちろん全てのミネラルウォーターが水道水に劣っているというわけではございません。ミネラルウォーターのなかには、水道水よりも優れたものも存在するからです。
では、水道水よりも優れたミネラルウォーターを見つけるためには、どうしたら良いのでしょうか。
その方法は「水の硬度」にあります。
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水の硬度とは?
水の硬度とは、水に含まれているミネラル分のうち、カルシウムとマグネシウムがどのくらい含まれているのかを特殊な計算方式に則って算出された数値のことです。
水の硬度を表す方法は国によって異なるのですが、ドイツではカルシウムやマグネシウムの含有量を全て参加カルシウム (CaO)に換算して表すため、水100mlあたりにCaOが1mg含むとき1度とし、マグネシウムは1.4MgO=1.0CaOとしてCaOに換算しています。
日本ではアメリカと同じくカルシウムとマグネシウムを酸化カルシウム (CaCo3)に換算したものを硬度として扱っているため、「mg/l」または「ppm」で表記しています。
硬度の算出方法
硬度 [mg/l]=(カルシウム量[mg/l]×2.49)+(マグネシウム量[mg/l]×4.11)
硬度の種類は、大きく「軟水」と「軟水」の2つに分けられており、国によっては「中軟水」や「超軟水」など細かく分類されています。
日本では、WHO (世界保健機関)が定めた「飲料水水質ガイドライン」と理化学辞典の定義に則って硬度分けされています。
WHOが定めた「飲料水水質ガイドライン」
硬度 | 数値 |
---|---|
軟水 | 0mg〜60mg/l未満 |
中軟水 | 60mg/l〜120mg/l未満 |
硬水 | 120mg/l〜180mg/l未満 |
超硬水 | 180mg/l以上 |
理化学辞典の定義
硬度 | 数値 |
---|---|
軟水 | 178mg/l未満 |
中軟水 | 178mg/l〜357mg/l未満 |
硬水 | 357mg/l以上 |
日本の水は一般的に硬度100以下のものを「軟水」としているため、北海道・東北・中部・近畿・中国地方は硬度が低く、関東・四国・九州・沖縄地方は硬度が高めとなっています。
ただし、同じ県や地方であっても地域によって硬度に大きな差がありますので、「北海道は軟水、沖縄県は硬水」というわけではありません。
お住いの地域の詳しい水の硬度を知りたい方は、各自治体の公式ホームページをご確認ください。
紅茶に適した水とは?
日本茶や烏龍茶に比べて水の影響を受けやすい紅茶を淹れる場合、硬水よりも軟水を使った方がおいしくなると言われており、更に言いますと、軟水のなかでも、最も紅茶との相性が良いのが「日本の水道水」なのです。
なぜ日本の水道水が紅茶と相性が良いのかと言いますと、
- 空気を豊富に含んでいる
- ミネラル類をほどよく含む軟水である
- 8.0pHから8.5pHのややアルカリ性
である可能性が高いからです。
もちろんお住いの地域によってpH値に若干の違いがありますので、場合によっては煮沸して調節する必要があるのですが、これら3つの条件を満たしている水は、日本の水道水を除いて滅多にありません。
紅茶に適さない水とは?
では、反対に紅茶に適さない水というのは存在するのでしょうか。
紅茶に適さない水の条件は、
- ミネラル類が全く含まれていない、もしくは、100mg/l以上の硬水
- 空気を全く含んでいない、もしくは、空気の量が極めて少ない
- pH値が低すぎる、もしくは、高すぎる
となっています。
そのため、健康や美容目的で作られている「ナチュラルミネラルウォーター」や純度の高い「真水 (純水)」、ヨーロッパ地方から輸入されている「硬度の高いミネラルウォーター」などは紅茶の持ち味を最大限引き出すことができませんので、おいしい紅茶を淹れたい方は購入を控えた方が良いでしょう。
紅茶と水の関係についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
今まで何気なく使っていた「水」が紅茶の持ち味を引き出すための重要な要素であったことを初めて知ったという方も大勢いらっしゃると思います。
これから紅茶を本格的に始めようとお考えの方は、使用する水の硬度や種類などをしっかり確認してから淹れるように心掛けましょう。
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