ドアーズ・テライ・キッシムとは|インド紅茶の種類や特徴
世界最大の紅茶の産地として有名なインドでは、1年間におよそ98トンもの紅茶を生産しており、なんと紅茶の国内消費量も世界第1位と、紅茶をこよなく愛するイギリスよりもたくさん消費しています。
そんなインドでは、世界三大紅茶のひとつ「ダージリン」や1823年にイギリス人のロバート・ブルース氏によって発見された新種のチャノキから摘み取られた茶葉で作られる「アッサム」などが有名ですが、他にも「ドアーズ」や「テライ」、「シッキム」など様々な種類の紅茶を生産していることをご存知でしたか。
今回は、「ダージリン」や「アッサム」だけではなく、インドで生産されている様々な種類の紅茶に関する産地や特徴などをご紹介していきます。
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インド紅茶のひとつ「ドアーズ」の産地や特徴とは?
ダージリンよりも濃い赤色の水色を持ち、渋味が少なくアッサムに近い清々しくさっぱりとした飲み心地のドアーズは、インド最大の紅茶の産地として有名な北東部にあるドアーズ地方で生産されています。
ドアーズ紅茶の産地であるドアーズ地方は、東ヒマラヤの麓にあるのですが、ドアーズ地方の北側は標高2000mを越える山々が入り組むダージリンの裾野にあたり、南のアッサム平原へと連なっています。また、西側はテライ紅茶の産地であるテライ地方へと続いており、『ダージリンとアッサムの中間にある紅茶の産地』として知られています。
ドアーズ紅茶は、アッサム州へと続く海抜30mから300mの丘陵地帯を中心に150近い茶園があり、栽培面積およそ69,000ヘクタールの土地で1年間におよそ85,000トンの紅茶が生産されています。
この地方が紅茶の産地となったのは、イギリスの支配下にあった19世紀後半に興った茶産業がきっかけであり、当時数千、数万人もの人々がこの地の茶園や製茶工場と契約したと言われています。
ちなみに、現在この地方に点在している国立公園は、貴重な観光産業の収入源となっているそうです。
ドアーズ地方で栽培されているチャノキは、主にアッサム系の茶樹となっており、各茶園ではアッサム地方の茶園を彷彿とさせるジェイド・ツリーの姿を見ることができます。
この地域の茶葉のシーズンは、3月中旬から11月頃となっており、なかでも秋に生産されるオータムナルは、たいへん香りが良いと評判です。
ドアーズ紅茶の一般的な製造方法はCTC製法ですが、一部のオーソドックスも製造されています。
しかし、ダージリンやアッサムと比べて知名度が低いため、その多くが国内向けのティーバッグの原材料となっています。ストレートティーやミルクティー、アイスティーにするとおいしく頂けますよ。
インド紅茶のひとつ「テライ」の産地や特徴とは?
濃い赤色の水色と渋味の少ないあっさりとした味わい、独特なコクが魅力的なテライは、西ベンガル州にあるヒマラヤ山麓南側にある海抜30mから300mの丘陵地帯平野部を産地とします。
テライ紅茶の「テライ」とは、ヒンズー語で「丘陵地帯」という意味であり、北東インドの玄関口として知られるバグドグラ空港からダージリン地方へと向かう途中にある広大な草原地帯のことを指す言葉でもあります。
テライ紅茶の産地であるテライ地方は、北にダージリン紅茶の産地であるダージリン地方、マハナンダ川を挟んだ東側にはドアーズ紅茶の産地であるドアーズ地方が控えています。
この地方は、モンスーンの時期を迎えると度々川が氾濫し、ヒマラヤからの土砂がこの地にもたらされるため、土壌は多くの砂礫で占められた多湿地域となっています.
。1947年にインド・パキスタン分離独立に伴い、西ベンガル州となりました。
しかし、テライ地方は一般的に国境を分けたネパールの南部を帯状に広がる低地を指すため、現在では東端だけがインド・テライの紅茶の産地となっています。
テライ地方で栽培されているチャノキの品種は、主にアッサム種となっており、茶葉の生産時期は3月中旬から11月頃までとなっています。
冬の時期は休眠となるため、テライ紅茶の年間生産量は80,000から90,000トンほどとなっています。
ちなみに、テライ紅茶は雨期を挟む春と秋には、ダージリン紅茶のような香り高い紅茶が完成するため、まだテライ紅茶を飲んだことの無い方は、この機会に飲んでみてはいかがでしょうか。
テライ紅茶は一般的な製造方法はCTC製法であり、茶園や栽培面積がドアーズ紅茶よりも少ないため、その大半が国内消費用として用いられています。ストレートティーやミルクティーとして頂いてはいかがでしょうか。
スッキリとしたアイワイが魅力のシッキム紅茶
鮮やかな濃いめのオレンジ色の水色と渋味が少なくまろやかでコクのある味わい、清々しくスッキリとした後味が特徴的なシッキム紅茶は、別名「幻の紅茶」と呼ばれており、インド北東部にあるダージリン地方とチベットの中間にあるシッキム地方にて生産されています。
ヒマラヤ山脈に囲まれた南麓にあるシッキム州は、標高8586mの高峰カンチェンジュンガを筆頭に28ものヒマラヤ峰と80を超える氷河、100を超す川が存在する自然豊かな土地なのですが、州の様々なところに多くの岩石があるため、農耕に不向きな州とも呼ばれています。
ただ、標高が最も低い地域を有するシッキム南部にあるテミ地方では農耕が可能であるため、州政府はこの地におよそ200ヘクタールの大型茶園テミを開き、この地方最大の茶園としてシッキム紅茶の生産を行っています。
ただ、この地方で生産されているシッキム紅茶は、州政府管理の大型茶園テミの他に小規模農園が散在するのみですので、1年間の紅茶生産量は100トン未満と非常に少なく、紅茶愛好家たちのあいだでは『幻の紅茶』と呼ばれています。
シッキム州テミ地方で生産された紅茶は、全てダージリン紅茶として認可され、インド北東部にあるカルカッタのオークションを通して取引されるのが一般的となっているのですが、そのほとんどはオークションを通さないプライベート・セール (茶園もしくはエージェントによる直接販売)で売買されているそうです。
シッキム紅茶の生産地であるテミ地方は、地理や気候がダージリン地方と酷似しており、チャノキ栽培も準じているので、3月上旬のファーストフラッシュはじまり、5月から6月にセカンドフラッシュ、6月から9月にモンスーンフラッシュ、10月から11月にオータムナルとシーズンごとに茶葉の摘み取りが行われます。
シッキム紅茶は全てのシーズンを通して好ましい花の香りがあるのですが、特にセカンドフラッシュはその香りが強まり、味も強い渋味やボディ感を感じないため、マイルドで飲みやすいと紅茶が得意ではない方々からも人気を集めています。ストレートティーをはじめ、レモンティーやアイスティーで召し上がると、より一層美味しく感じますよ。
今回は世界最大の紅茶生産量を誇るインドで生産されている紅茶の種類や特徴、そしてそれぞれの紅茶が持つ香りや味、水色についてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
インドには他にも、カングラやケララ、マンディーなど様々な種類の紅茶がありますので、紅茶に興味を持たれた方や紅茶に関する資格取得を目指している方は、是非この機会にいろいろなインド紅茶を淹れて、飲み比べてみてはいかがでしょうか。
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