抹茶の産地と生産量消費量|抹茶の効果効能
北は新潟県から南は鹿児島県と日本各地で積極的に栽培が行われている「緑茶」は、産地によってお茶の香りや味わいが全く異なります。
例えば、新潟県北部にある村上市は日本最北端の緑茶の産地として有名な地域であり、この地で生産されている「村上茶」は、春先の寒暖の差によって生み出されるまろやかな甘みが人気となっています。
反対に、生産量が少なく“幻の緑茶”と言われている宮崎県の「高千穂釜炒り茶」は、摘み取った茶葉を蒸すのではなく炒ることで、釜香とスッキリとした味わいが楽しめる緑茶となっています。
しかし、日本各地で生産されている緑茶のおよそ70%以上が「煎茶」となっており、高級茶として有名な抹茶・玉露・かぶせ茶の生産量は、ほんのわずかしか生産されていません。
しかも、抹茶の場合“碾茶を原材料とする正真正銘の抹茶”と“碾茶以外を原材料とするイミテーション抹茶”の2種類あり、市場に出回っている1/3ほどが正真正銘の抹茶であり、残りの2/3はイミテーション抹茶のため、私たちが普段口にしている抹茶の多くが碾茶を原材料とする抹茶ではないということになります。
ですが、ここ数年、世界各国で空前の抹茶ブームが巻き起こっており、衰退の一途を辿る煎茶とは異なり、抹茶の生産量が10年で倍増しており、煎茶を中心に生産していた地域でも、多くの茶農家さんたちが碾茶生産へと転換されているそうです。
そこで、今回は現在抹茶の生産量が盛んな地域や名産地、また消費量が多い地域などについてご説明したいと思います。
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抹茶の生産量が盛んな地域と名産地
昭和60年までは、抹茶の原材料である碾茶の産地はわずか3府県しかありませんでしたが、平成18年には碾茶の生産地がなんと8県も増え、現在は11府県で碾茶の生産が行われています。
このうち、抹茶の生産には欠かせない茶臼もしくは粉砕機を持つ府県は、京都府・愛知県・静岡県・福岡県・埼玉県の5府県のみとなっています。
抹茶の名産地といえば、京都府宇治市の「宇治茶」が有名ですが、愛知県西尾市を中心に生産されている「西尾茶」は、世界で絶大な人気を誇る高級アイスクリームショップ「Haagen-Dazs (ハーゲンダッツ)」にも使用されており、日本を代表する抹茶と言っても過言ではありません。
昭和60年以前までは、遮光用の資材などに投資をしなければならない碾茶栽培は茶農家によっては痛い出費となるため、からっきし人気が無かったのですが、昭和60年以降、加工用抹茶の需要が増加したことで抹茶の需要が飛躍的に増加したことで、今まで煎茶を中心に生産していた茶農家さんたちのあいだでは碾茶栽培へ転換される方が次々に現れたそうです。
その結果、手摘みの碾茶の生産量はやや減少しましたが、ハサミ刈の一番茶・二茶碾茶・秋番モガが急増し、より大量生産可能な抹茶専用の粉砕機の登場によって、加工用抹茶の生産量が増加し、抹茶を使ったスイーツや飲料水などを安定して供給できるようになりました。
ただ、この抹茶ブームがどこまで続くのかという不安もあるそうで、碾茶栽培を始めるべきか否かの判断は非常に難しいところとなっています。
抹茶の生産量の不思議と消費量が多い地域について
抹茶の生産量および消費量についてご説明したいところではありますが、2016年現在、残念ながらどちらの統計も存在せず、詳しい情報をお伝えすることが出来ません。
ただ、抹茶研究の第一人者である桑原秀樹氏によると、現在の都道府県別碾茶生産量は加工用抹茶を含め、およそ4,000トンであり、国民1人あたり年間4gの消費量となります。
抹茶ブームが巻き起こる以前の昭和44年度の碾茶生産量が373トンですので、およそ4.6倍も増加していることが分かります。
しかし、抹茶生産量が4,000トンなのに対し、抹茶の現在量となる碾茶の生産量は1,740トンと非常に少なく、2,260トンの抹茶は何で作られているのかと不思議に思う方も多いのではないでしょうか。
平成21年度の全国碾茶生産量は1,740トンという数値は、茶の生産家が工場で製造した茶「荒茶」を指しており、そこから茎や葉脈など茶臼で挽くことができない部分を取り除いて仕立業にすると、およそ1,300トンとなります。
つまり、抹茶生産量4,000トンのうち、碾茶を原材料とする抹茶は1,300トンほどしかないことになります。
では、残りの2,700トンは何で出来ているのかと気になりますよね。
残りの2,700トンは、加工用・工業用・食品用の抹茶や秋碾となっており、抹茶風味の粉末緑茶という日本茶になります。
今回は現在抹茶の生産量が盛んな地域や名産地、また消費量が多い地域などについてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
抹茶の消費量についての情報は2016年現在、一切公表されておりませんので、推測になってしまいますが、2015年緑茶の消費量都道府県ランキングでは、日本一のお茶処として有名な静岡県をはじめ、熊本県、三重県がトップ3を占めており、緑茶をほとんど飲まない都道府県は沖縄県・岡山県・高知県となっています。
抹茶は中国発祥の「抹茶法」を起源とする緑茶ですが、中国では既に抹茶は滅んでおり、今では日本でしか飲むことが出来ません。
今まで抹茶に興味が無かった方も、この機会に1度嗜んでみてはいかがでしょうか。
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