茶道の流派｜表千家・裏千家・武者小路千家の違い

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ここ数年、“茶道女子”と呼ばれる女性が急増しているのをご存知ですか。

 

茶道は、禅の修行がルーツとなっているため、自然が奏でる音に耳を傾けながら、心を落ち着かせ、精神を統一した状態で行われます。

 

そのため、一挙手一投足に気を配り、ピンと張りつめた空気のなか、流れるような優美な所作を振る舞うことができるまで稽古を重ね、一人前になったときには、常に心を冷静に保てるようになり、品のある言葉遣いや動きを自然にこなせるようになります。

 

また、日本独自の文化である茶道には、所作・気遣い・言葉遣いのほかに、人との間合いの取り方やその場の空気を察する力なども身に付くため、人間力を高めてくれます。

 

茶道には、現代人が失いつつある様々な要素を学ぶことが出来るため、女子力を上げたいとお考えの女性だけではなく、日々のストレスで心も体もボロボロになりつつある方や人間関係に悩んでいる方、粗野な態度を改めたいという方など様々なお悩みを抱えている方々にオススメのお習い事となっています。

 

ですが、現在茶道には500を超える流派があり、どの流派で学んだら良いのか悩んでしまうという方も多いと思います。

 

そこで、今回は1600年頃に千家の家督を継いだ千宗旦の流れを汲む流派で最も有名な表千家・裏千家・武者小路千家、三千家の歴史とそれぞれの流派による違いについてご説明します。

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「侘び茶」の大成者である茶聖・千利休は、1587年10月1日に北野天満宮にて催された「北野第茶湯」のあと、豊臣秀吉との関係が悪化し、1951年に秀吉の命により自刃します。

 

利休の死後、千家は一家断絶の憂き目に遭うのですが、1594年に蒲生氏郷と徳川家康らの取り成しによって、豊臣秀吉の勘気も解け、利休の息子・少庵は京に戻ることを許されました。

 

このとき秀吉の赦免の意を伝える蒲生・徳川の連署状は「少庵召出状」として現在も表千家に伝わっています。

 

そして、少庵から息子の千宗旦へと家督が継がれると、先妻とのあいだに長男・閑翁宗拙、次男・一翁宗守、後妻とのあいだに三男・江岑宗左、長女・くれ、四男・仙叟宗室の4男1女をもうけています。

 

宗旦は、4人の息子たちを徳川家や加賀藩前田家の茶頭として士官させるなど精力的に千家の復興と侘び茶の普及に努めたのですが、長男の宗拙は加賀藩前田家に出仕後、すぐに辞職してしまったため、宗旦に勘当されてしまい、正伝寺にて寄寓したのですが、その後、宗旦は宗拙を許したと言われています。

 

次男の宗守は、武者小路にある塗師・吉文字屋の吉岡与三右衛門のもとへ養子に出され、吉岡甚右衛門と名乗り塗師を業とします。

 

三男の宗左は、当初肥前唐津藩寺沢家に出仕しているのですが、1637年の島原の乱の責により減封し、失職してしまったため、1年半後の1639年に讃岐高松藩生駒家に出仕することになります。しかし、生駒家もお家騒動の責によって讃岐17万3千石を没収されてしまい、出羽由利1万石に転封され再び失職してしまいます。

 

しかし、1642年に徳川御三家のひとつである紀州徳川家に茶堂として召し抱えられ、のちに千家の家督を継ぎ「表千家」となります。

 

四男の宗室は、徳川2代将軍・秀忠と3代将軍・家光の侍医でもあった野間玄琢について医学を学び、”玄室”と称したといいます。しかし、1645年に玄琢が急死してしまうと、父・宗旦のもとへと戻ります。

 

宗旦は、玄室が戻ったことを機に隠居生活を始め、1646年に三男の宗左へ「不審庵」を譲り、その屋敷の北裏に隠居屋敷と「今日庵」を建て、玄室を連れて移ります。

 

その後、この隠居屋敷と茶室「今日庵」は仙叟宗室に譲渡され、「裏千家」となります。

 

さて、次男の宗守はというと、塗師の業を女婿の中村八兵衛 (千家十職 初代中村宗哲)へと譲り、千家へ復帰し、武者小路小川東入に居を構え、その後は茶人としての人生を歩み始めます。

 

1650年、宗守が58歳のとき、大徳寺185世・玉舟和尚から一翁宗守の号を授かり、陽明家、近衛家に、1664年には讃岐高松藩の百俵十人扶持茶道頭格となります。

 

四男の玄室は、1651年に加賀藩前田家に召し抱えられ、同年8月に「宗室」へと改名します。

 

一方、次男の宗守は、1667年に松平候の茶堂としての仕事を隠退し、武者小路の地に茶室「官休庵」を建て、この茶室の名である「官休庵」は、そのまま家を代表する名となり、その所在地から「武者小路千家」と呼ばれるようになりました。

 

これが、表千家・裏千家・武者小路千家の三千家が誕生した歴史です。

表千家・裏千家・武者小路千家は、千宗旦の息子たちによって三家に分かれた宗旦流という流派のことであり、三流派を合わせて「三千家」と呼びます。

 

同じ流派発祥なので、ところどころ似通った部分はありますが、作法やマナーなど細やかな部分が若干異なるため、表千家のお稽古を習っていた方が裏千家や武者小路千家の茶会へ参加する際は驚くこともあるそうです。

 

では、三千家それぞれの違いについてご説明します。

 

本家と主な分家

• 表千家

流派	特徴
表千家流 (不審庵)	千宗左が祖父である利休の茶道を正統に継ぐものとして始まった。
松尾流	松尾宗二が名古屋にて分派した。
江戸千家流 (川上家)	川上不白が江戸で開いた。
堀内流 (長生庵)	堀内仙鶴が表千家流から分かれた流派。

 

• 裏千家

流派	特徴
裏千家流 (今日庵)	千宗室による流派。
速水流	千宗室による流派。
大日本茶道学会	田中仙樵が明治時代に開設。茶道の普及に尽力。

 

• 武者小路千家

流派	特徴
武者小路千家 (官休庵)	千宗守が開いた。

 

 

抹茶の点て方

• 表千家：あまり泡立てない。
• 裏千家：しっかり泡立てるため、ふわりとしている。
• 武者小路千家：表千家同様、あまり泡立てない。

 

所作

• 表千家：畳を左足から6歩で歩く。
• 裏千家：1畳を右足から4歩で歩く。
• 武者小路千家：柱付の足から1畳6歩で歩く。

 

お辞儀

• 表千家：両手を八の字に着いたら、30度ほどの角度でお辞儀をする。

男性は両手を20cmほど開け、女性は7cm〜8cmほど開けるのが基本。

• 裏千家：「真」「行」「草」の3種類のお辞儀をそれぞれ使い分ける。
• 武者小路千家：左手が前になるようにそっと合わせ、指先を膝前の畳に軽く付けて背筋を伸ばして行う。

 

帛紗 (ふくさ)

• 表千家：男性は無地の紫、女性は無地の朱。
• 裏千家：男性は無地の紫、女性は無地の赤。
• 武者小路千家：男性は無地の紫、女性は無地の朱。

 

座り方

• 表千家：男性は安定する広さに両膝を開ける、女性は膝をこぶし1個分ほど開けて座る。
• 裏千家：男性はこぶし2個分開ける、女性はこぶし1個分開けて座る。
• 武者小路千家：男性はこぶし1個分開ける、女性は膝を開かずに正座する。

 

 

他にも表千家・裏千家・武者小路千家の三千家には、ささやかな違いがありますので、それぞれの茶会に足を運び、その違いを肌で感じてみてはいかがでしょうか。

今回は表千家・裏千家・武者小路千家の違いについてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

 

現在500を超える流派のある茶道ですが、なかには心無い先生もいらっしゃるようで、入会を希望したら断られたということもあるそうです。

 

これから茶道教室に通う予定の方は、茶道経験者の方にお話を聞いたり、様々な流派の教室を見学に行くことがオススメです。

 

また、見学に行く際は、目的・習い方・費用・立地条件の4つをしっかり見ることが大切です。

 

 

どうしても自分に合った茶道教室が見つからないという方は、表千家不審庵 事務局に問い合わせてみるのも良いでしょう。
この機会に、様々な茶道の流派を体験してみてはいかがでしょうか。

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