麦茶に含まれるアクリルアミドと発癌性|麦茶の効果効能
豊かな自然に囲まれたスウェーデンは、北ヨーロッパにあるスカンジナビア半島の東部にある立憲君主国です。スウェーデンは積極的に難民を受け入れており、さらに社会保障制度の発展に力を入れている国でもあります。そんなスウェーデンから2002年に何の前触れもなく「発癌性のあるアクリルアミドという物質が、日頃私たちが摂取している食品内に含有されている」とスウェーデン政府から発表されたことによって、世界各国で大きな騒ぎを呼び、大混乱を招いたのは記憶に新しいと思います。
皆さんは「アクリルアミド」とはどういったものかご存知ですか?
アクリルアミドとは、神経毒性及び肝毒性のある非常に毒性の強い物質です。皮膚からも吸収されるため取り扱いには細心の注意が必要と言われています。このアクリルアミドという物質には生物のDNAを傷付けるため発癌性があると言われています。なぜ、そんな危険な物質が食品内に含有されているのでしょうか。
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発癌性物質のアクリルアミドを含む麦茶を飲用しても安全なのか
発癌性を持つアクリルアミドは1950年頃から紙を補強するための添加剤や工業用の接着剤など工業目的として現在でも用いられています。
それがなぜ食品中に含有されていると言われるようになったのかと言いますと、1997年にスウェーデンのトンネル工事の際に起こったアクリルアミド漏出事件がきっかけだと言われています。アクリルアミドに関する汚染調査の際、アクリルアミドに触れていない人々の血液中から予想だにしない高濃度のアクリルアミドが検出されたのです。
アクリルアミドは一般的に煙草の煙から検出されるものであり、自然界に存在しないことから加熱処理が施された食品などを摂取したことで食品内にアクリルアミドが生成されたのではないかという仮説が生まれました。その後の研究により、揚げ・焼き・炒めといった加熱による加工が施された食品ほぼ全てからアクリルアミドが検出されたのです。
よくポテトチップスやコーヒー、烏龍茶に発癌性があるという言葉を耳にしますが、夏の風物詩である麦茶も例外ではありません。麦茶は大麦を焙煎して作られています。そのため、麦茶にも少なからずアクリルアミドが含有されているのです。
麦茶を飲んで癌になるリスクは高いの?
2002年のスウェーデン政府の発表を受けて、日本政府は2003年に農林水産省によるお茶飲料に関するアクリルアミドの含有量を調査しました。その結果、ほうじ茶と麦茶は他のお茶と比べ、アクリルアミドの含有量が多いことが判明しました。しかし、ポテトチップスなどのスナック菓子よりも少ないため、コーラやジュースと比べると健康を害する危険性は低いと発表されました。しかし、老若男女問わず誰でも飲用出来る麦茶ですので、特に小さなお子様を持つ親御さんは不安になるかと思います。
国際がん研究機関(通称:IARC)では、発癌性分類表を設けており、5つのブロックに分けています。最も危険なものを「1」から順に分類しており、アクリルアミドの発癌性のレベルは2A「人に対しておそらく発癌性がある」に分類されています。しかしながら、現在でも食品内に含まれるアクリルアミドによる人への発癌性は確認出来ておりません。
日本では国民平均食品摂取量から試算した成人が1日に摂取しているアクリルアミドの量は平均69μgから118μgであるため、今すぐ麦茶はほうじ茶などの飲用を控える必要はないとしています。
アクリルアミドが含有されているからと言って悲観的にならないで!
アクリルアミドは120度以上の高温で加熱された際に生成されると言われています。
確かにアクリルアミドには発癌性はありますが、それを気にしていたら何も食べられなくなってしまいます。加熱料理は決して悪いことではありません。
食材に熱を加えることによって細菌の繁殖を抑制し、保存性が高まります。また、アクリルアミドは食べたらすぐに癌細胞が誕生するというわけではありません。人間はDNAが傷付けられても修復しようと働きます。
しかし、乱れた食生活などが要因となり、体内のアクリルアミドの量が多くなってしまうと、DNAの修復が間に合わず、発ガンリスクが上昇します。
アクリルアミドによる発癌リスクを最小限に抑えたい方は、バランスの良い食事を摂取することを心掛けるようにしましょう。
また、現在では各企業の努力によって食品内に含有されているアクリルアミドの量が減少しつつあります。さらに、普段の食生活ではアクリルアミドによる発癌リスクは確認されておりませんので、安心して麦茶やほうじ茶を飲用してください。
人間は気持ちの持ちようで病気になったり健康になったりします。癌はストレスや不摂生な生活、乱れた食生活でも発症リスクが上昇します。そのため、麦茶を飲んで癌になる可能性はほぼ0に近いといえます。深く考え込まず、1日1日を前向きに明るく生きてゆきましょう。
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