麦茶の歴史|麦茶の効果効能

麦茶の歴史|麦茶の効果効能

麦茶の歴史|麦茶の効果効能

日本における麦茶の歴史

 

古くから夏の風物詩として甘酒やほおずき、かき氷などと共に夏の季語として詩歌に読まれている麦茶は日本の歴史を語るうえでたいへん重要な存在となっています。
そこで今回は日本人と麦茶に関する歴史をご紹介したいと思います。

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大麦、そして麦茶が歩んできた歴史

麦茶の原材料である大麦の歴史

 

麦茶の原材料である大麦は黍(きび)や高黍(たかきび)などと同じく世界最古の穀物の1つと言われています。今から約1万年前からアラビア半島からトルコにかけての西南アジアから中国のタリム盆地からカスピ海までの内陸乾燥地帯である中央アジアで栽培されており、さらに今から約3000年前の古代エジプトの王であるツタンカーメンの墓の中から副葬品として大麦が発見されています。

 

日本へ大麦が伝わったのが約1800年前と言われており、中国から朝鮮半島を経由して日本へ伝来したと言われています。伝来した大麦は瞬く間に日本各地へ広まり、奈良時代の頃には日本全土で栽培が行われていたそうです。

 

大麦は胚乳と呼ばれるデンプン層の部分に食物繊維やタンパク質がたっぷり含有されており、胚芽の部分には脂質や生体の成長に欠かせない無機質、ビタミン類がたくさん含まれています。

 

特に胚乳部分に含まれる食物繊維は水溶性なので腸の消化・吸収などの機能を整えることが出来ます。さらに、香気成分にはサバやサンマなど青魚に含有されるEPAなどと同じ働きを持つアルキルピラジンや体内の組織を常に正常に保つ作用を有するリノール酸、リラックス効果や抗ストレス作用を持つGABA、そして強力な抗酸化作用のPクマル酸なども含まれており、健康と美容に優れた効果を発揮します。

 

では、続きまして日本と麦茶の歴史についてご説明します。

 

 

 

日本と麦茶の歴史

 

大麦が日本へ伝来したのは縄文時代の終わりから弥生時代の初め頃と言われています。その後、奈良時代になると大麦は日本各地で栽培されるようになり、平安時代になると白米と大麦を混ぜ込んだ「麦こがし(通称:麦ごはん)」が誕生します。また、現在のように大麦を焙煎し、飲料として用いられるようになったのもこの頃からと言われています。当時の麦茶は貴族のみが飲用することが出来た飲料でした。その後、時代がは移り変わり、鎌倉時代や戦国時代になると多くの有名な武将たちは戦のさなかでも陣屋へ麦茶を持ち込み、嗜んでいたと言われています。

 

麦茶が一般市民の間で飲用されるようになったのは江戸時代の終わり頃になります。当時の麦茶は「麦湯」と呼ばれており、江戸時代に記されたとされる幾つかの書物の中に麦茶に関する記述が残っています。
「寛天見聞記」や「江戸府内風俗往来」などには、夏になると夕暮れ頃から町に麦湯と書かれた行灯が並び、道端に涼み台を並べて麦湯のお店が立ち並んでいたそうです。麦湯屋は明治時代になっても上野や浅草などの下町では町人の憩いの場として親しまれていたと言われています。

 

では、現在の麦茶の在り方をご紹介します。

 

 

 

現在の麦茶の在り方

 

日本の歴史の中で麦茶は大勢の人々の渇きを潤し、人と人とを結ぶ大切な交流の場として用いられてきました。では、明治以降の麦茶がどのように変化していったのでしょうか。

 

江戸時代の終わりから明治時代にかけて大流行した麦湯屋では、15歳前後の麦湯の女と呼ばれる少女が切り盛りする麦茶専用のカフェでした。当時は1杯4文で提供しており、大麦が収穫される初夏の時期は新麦の麦湯を飲むために大賑わいだったそうです。

 

冷蔵庫の普及が始まった昭和30年頃になると、自宅で焙煎された大麦を購入し、今まで温かかった麦茶から冷たい麦茶を飲用する文化が誕生しました。昭和40年頃には今まで麦湯と呼ばれていた麦茶の名称が本格的に麦茶に統一され、現在に至ります。

 

なぜ麦茶と呼ばれるようになったのかは定かではありませんが、一説によると明治時代の頃に西洋から伝わった紅茶やコーヒーなどの飲料を嗜むカフェの誕生によるものではないかと言われています。

 

この頃の麦茶は東日本と西日本では使用する大麦の種類が違っており、東日本では六条大麦、西日本では裸大麦をそれぞれ使用した麦茶でした。

 

昭和38年に麦茶の歴史に大きな変化が生まれます。麦茶の大量生産を始めるために、ある会社が巨大なコーヒー焙煎機を購入し、日本で初めて煮出し専用の麦茶ティーバッグを発売しました。これを期に昭和40年にはいつでも冷たくて美味しい麦茶が飲めるよう水出し専用の麦茶ティーバッグが食品メーカーから販売され、昭和53年には初の容器入り麦茶が販売されました。

 

昭和55年には、大手食品メーカーが続々とオリジナル麦茶を製造及び販売を開始し、1980年頃には持ち運びが便利なペットボトルタイプや缶タイプの麦茶など様々な麦茶製品が続々と誕生しました。

 

現在では、時間に追われる方々も多くなり、煮出して淹れる麦茶の需要が減少し、水出し麦茶や粉末タイプの麦茶の需要が増加しています。しかし、水出し麦茶では麦茶本来の香りや風味を出すことが出来なくなくなると同時に麦茶の香気成分であるアルキルピラジンの効果を十分に得ることが出来ないというデメリットが発生します。
また、麦茶は身体を冷やす飲料のため、キンキンに冷えた麦茶を大量に飲用してしまうと健康を害する可能性があります。

 

毎年6月1日は麦茶の日です。大麦の収穫は6月1日から始まるため、1986年に日本麦茶工業協同組合が制定したそうです。この機会に日本と麦茶の歴史に触れ、先人たちが大切にしてきた麦茶への思いを知ることで、いつもの麦茶をワンランク上の麦茶にして飲用してみてはいかがでしょうか。

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